「棚の中から取り出した小麦粉、袋を開けたら何か動いたような気がする。」そんな経験ありませんか?
それは食品を好む“コナダニ”かもしれません。ダニにも色々な種類がいますが、キッチンでよく見かけるのが“ケナガコナダニ”。
名前の通り背中に細長い毛がたくさん生えています。
このケナガコナダニは、小麦粉、お好み焼き子、パン粉、砂糖、チョコレート等々、様々な食品に出現します。知らずに口にしてしまうと...アナフェラキシーショックを引き起こしてしまうかもしれません。時には死に至ることもあるのです。
ダニは畳や布団だけではなく、食品などにも潜んでいるのです。
今回は、キッチンに潜むケナガコナダニの繁殖を最小限に防ぐために、どう駆除・対策をすればいいかお伝えします。
目次
コナダニが原因で死亡!?アナフェラキシーショックの危険も!!
粉製品に混入・発生したダニを食べてしまったことによるアナフェラキシーの事例は、多数あり、海外ではパンケーキが原因となることが多いことから「パンケーキシンドローム」などとも呼ばれています。
日本ではお好み焼き粉で起こる場合が多く、いずれも開封から数カ月置いた粉を使用して食べたことが原因となっています。
検出されるダニは、ヤケヒョウヒダニやコナヒョウヒダニの他、ケナガコナダニなども挙げられています。
過去にこんな事例がありました。
~ダニが混入したお好み焼き粉による口腔ダニアナフィラキシーの親子例~
事例1)
14歳男子が市販の「お好み焼き粉」を一度開封し、5ヶ月後に摂取したところ20分後呼吸困難,顔面の睡れ,全身の皮膚紅潮が出現した。「お好み焼き粉」1g中に約14.000匹のケナガコナダニが認められた。事例2)
11歳女子,市販の「ホットケーキミックス」を一度開封し,4ヶ月後に摂取したところ,30分後に腹痛,呼吸困難,顔面の腫れが出現した。「ホットケーキミックス」1g中に約11,000匹のケナガコナダニが認められた。
ケナガコナダニ経口摂取によるアナフィラキシーの2 例
o 松 本 知 明 ,濱 口 正道 (熊 本大 学 発 達 小 児 科 ) .
アナフェラキシーショックを起こす人は、ダニアレルギーや喘息やアトピー性皮膚炎など、もともと何らかのアレルギー疾患を既往している人がほとんどです。ひどい場合には死に至ったケースも存在します。急な呼吸困難や蕁麻疹などの異変が現れた際には、急いで救急車を呼ぶようにしましょう。
また、アレルギーでない人もアナフェラキシーになった人もいるため、長期間保管したお好み焼き粉は要注意です。コナダニが発生した粉で調理した物を食べても、何も問題がない人もいますが、なんども経口することによりアレルギーが発症する可能性もあります。
アレルギーの原因はダニ?家の中の環境が引き起こすアレルギー性疾患
小麦粉に潜むコナダニとは?特徴と生態について
主に食品を食害するコナダニですが、被害の原因となる種類はケナガコナダニです。直接人をさしたりといった害はないものの、食害やアレルギーの人へ間接的な影響を与えるなど、衛生害虫として知られています。コナダニの特徴と生態については以下です。
名称 | ケナガコナダニ |
大きさ | 0.2mmから0.4mm |
色 | 乳白色 |
特徴 | 長い毛が生えている |
生態 | 雑食、環境がそろうと大量発生することもある |
生息場所 | キッチン、畳、リビングなど |
好むもの | 小麦粉、パン粉、砂糖、鰹節、チョコレートなどの食品 |
繁殖 | 温度25~30℃、湿度75~85%前後(梅雨時期に大量繁殖することも) |
冬だからと言ってコナダニが発生しないわけではありません。家中いたるところに生息しているので、冬でも温かく湿った場所にはコナダニが発生・繁殖はしますよ。
家の中のいつ何処にコナダニが発生するの?見分け方は?
●ケナガコナダニはキッチンが大好き
ケナガコナダニは、食料品が大好きなので、餌が豊富なキッチンに多発します。小麦粉・お好み焼き粉・ホットケーキ用の粉・パン粉・砂糖・七味・かつお節・味噌・乾燥させた食品・チョコレートやチーズ等々、あらゆる食材に発生します。特に、でんぷんやたんぱく質、うまみ成分を多く含むお好み焼き粉や・ホットケーキの粉・粉ミルクなどを好みます。粉ものは粉と紛れて見えないことも多く、先の事例の様なことも起こりかねません。特にアレルギーを持っている人は要注意です。(粉ものの保管方法については後述していきます。)
●畳・医薬品にも繁殖する
食品以外でも、医薬品や畳、カーペットなどにも発生します。畳に白い粉が吹いたようにして大量発生していると、目でも見ることができます。梅雨時から秋頃までは、高温・多湿の条件が揃いやすく繁殖しやすい時期です。増殖してからの対応は大変なので、早めに対策をしておきましょう。
●コナダニの見分け方は?
コナダニは大きさが0.2~0.4mmtと非常に小さく、乳白色をしていて、ほとんどの粉製品と同色ため、目でみて見分けることはできません。そのため、コナダニが食品や粉類に発生しないように、適切に保管して繁殖を予防することが大切になってきます。
一度発生すると、あっという間に繁殖してしまうので、知らない間に大量発生。袋を開けた瞬間、「粉なのに動いてる~」って事にもなりかねません。
コナダニから食品を守るためには?保管方法と対策
一度発生してしまった食品中のコナダニを退治して、再び食べられるようにすることはできません。一度コナダニが混入してしまうと、たとえコナダニを駆除しても、ダニの死骸やフンが残ってしまうため、それらの混入した食品を食べることは、衛生的にもアレルギーの観点からもよくありません。
結局のところ、食品にコナダニを発生させないようにするのが、一番の対策!
となります。
ケナガコナダニはしっかり封を閉じたつもりでも、
- 開封後のちょっとした隙間から袋の中に入り込む
- 未開封の食品であっても穴をあけて入りこむ
など、いつの間にか袋の中に入り込り込んでしまうこともあるため、使う前の確認と対策が大切です。
一番の対策はダニを発生させないことです。一度ダニが発生してしまうと完全に駆除することは難しいので、発生しない様に事前に対策をとることが大切です。対策として以下の様な食品の保管方法があります。
① 小麦粉・お好み焼き粉などの粉類は、一度開封したものは、しっかり封をして密閉容器やジップロックなどに入れて、冷蔵庫もしくは冷凍庫に保存する。
② 温度20~30℃、湿度60%以上とならないよう置き場所を工夫する
③ 一度封を開いたら、できるだけ早く使い切る
④ 安売りだからといって、必要以上に買い置きしない
開封後、常温で2~3か月以上たっている食品や、引き出しの奥にしまい込んである古い食品にはケナガコナダニが発生している可能性があるので、思い切って捨てましょう。
一度はコナダニが発生した場合、死骸やダニのフンにもアレルゲンがある事ため、アレルギー症状を引き起こす可能性があります。
安売りしてるからといって、必要以上に買い置きをするのはやめましょう。
食費を任されている者にとって節約も大切ですが、まずは家族の健康を第一に考えましょう!
ケナガコナダニも低温・乾燥に弱いです。商品の箱や袋の裏側の保存方法には、「高温多湿・直射日光をさけて常温で保存」などと記載されていますが、よく見ると注意事項の欄に、「開封後は虫害を防ぐ為、袋口を密閉し冷蔵庫で保存、早めに使用する」と記載されています。
ダニの侵入を防ぎ、家族の為に安心・安全な食事を心がけましょう。
食器棚にダニ取りシートを置いておくのも一つの方法です。当サイトがおすすめしている『ダニ捕りロボ』では、小さいタイプのダニ取りシートもラインナップされているため、粉物をまとめたカゴや容器の中、食器棚にも置くことができます。手軽にダニが捕獲できて安心です。
食品以外にも発生するコナダニと駆除方法
キッチンでよく発生するコナダニですが、実はキッチンだけでなく、家の中のいたるところにも生息・繁殖しています。食品もそうですが、食べかすのあるリビングなどで、チリダニと一緒に見つかることも多いです。また、特にコナダニが多く見つかる場所としては、以下の場所に注意しましょう。
- 畳
- カーペット
畳やカーペットにいるコナダニの駆除は、窓を開けて換気をして湿度を下げたり、掃除機をかけてエサとなる食べかすなどを除去することが有効です。
しかし、畳の上にカーペットを敷いている人は駆除するのが大変になります。畳は調湿機能に優れた素材で、湿気の多い夏は湿気を吸い取ってくれるため涼しく、逆に乾燥した冬は吸収した湿気を発散させるため暖かいという特徴をもっています。しかし、カーペットを上に敷くことで、発散された蒸気は逃げ場がなくなり、畳とカーペットの間にたまり湿気っぽくなります。カーペットで畳の表面は保温され、湿気もたまるため、コナダニの格好の住処となります。
どうしても畳の上にカーペットを敷きたい人は対策をしておきましょう。畳の上のカーペット対策については、畳にカーペットは絶対NG!?失敗するとダニとカビの温床にを見てみてください。
まとめ
●コナダニ発生のチェック項目
①食器棚や引き出しの奥、流し台の下などに長い間しまい込んでいる古い食料品・調味料はないか?
② 粉類・お菓子類・調味料等々、封を開けてそのまま常温で保管していないか?
③ 袋に小さな穴が開いてないか?
粉類の封を開けた際に、動く物体はないか?
④ 開封から数カ月たっていないか?
コナダニの中でも今回は、特に食品で被害の多い「ケナガコナダニ」についてご紹介しました。
最後にコナダニが発生していなか、食品チェックのポイントを上にまとめましたので、この機会にぜひ確認をしてみてください。
アナフェラキシーなど、命の危険にもつながるダニは目で見えない分、気が付かないことが多いです。被害にあわないよう事前対策がとても大切です。
コナダニの一番の対策は、出来る限り発生させないこと!
です。
食品の保存方法や、掃除の仕方をもう一度見直して、家族にコナダニの影響のない環境を作ってあげて下さい。