本棚にしまってあった本を久しぶりに手に取ってみていたら、本の隙間から小さな虫が出てきて驚いたことはありませんか?
ダニと勘違いしてしまう人も多いようですが、もしかしたらその虫は「茶立虫(チャタテムシ)」かもしれません。
チャタテムシは畳や障子、古本などを這いまわる1ミリ程度の虫で、特に人に直接危害を加えてくることはありませんが、大量繁殖してしまうとダニ刺されなどの二次被害のリスクがあります。
ただ、直接害がないといっても予想だにしないものに思わずドキッとさせられるのも嫌な気分ですよね。
そんなダニに勘違いされることが多いチャタテムシ、できるだけ対策をして気持ちよく良く読書を楽める環境を作りたいですね!
「ダニやチャタテムシを繁殖させる環境を作っていないか?」気になった人はこちらの記事
で、すぐに自分の環境をチェックできるので、見てみてくださいね!
たまに本の中にいる小さい虫ってなんなんだろ。ダニなんかな。。
— ぱすた (@u__02nht) 2018年8月15日
確かに実家の古本を開けたら見たことがあるわ!ダニじゃなくてチャタテムシだったのね!
※虫の画像がでてきます。体調のすぐれない方は閲覧をお控えください。
目次
紙ダニ「チャタテムシ」とは?
引用:札幌市/生活衛生
チャタテムシは、「紙ダニ」「本シラミ」とも呼ばれ、古本によく発生します。茶色っぽい色をしており、体長は1~2㎜程度で肉眼で観測することができるため、ぱっと見たときに感覚的に「ダニ!?」と誤認してしまうようです。
チャタテムシは、カビ・ホコリを食べる雑食で、湿度が高く、薄暗い場所を好みます。茶せんでお茶をたてるときのような音を出すことからチャタテムシ(茶立虫)と呼ばれるようになりました。
古い紙や糊もエサとするので、古本や湿度が高い部屋の壁紙の糊から大量に発生することもあります。
初めてみるとダニって勘違いしちゃうけど、ダニとは違う虫なんダヨ!
チャタテムシとダニの違い
チャタテムシ | チリダニ | ツメダニ | |
大きさ | 1㎜程度 | 0.2~0.4㎜と非常に小さい | 0.3~1㎜程度 |
発見される場所 | 古本、壁紙、穀類や乾麺、マカロニ、ダンボール、畳やござ、落ち葉 | カーペット、絨毯、カーテン、ソファ、布団など家の中全部 | カーペット、絨毯、カーテン、ソファ、布団などチリダニのいる場所 |
特徴 | カビ・ホコリを餌とする(雑食) 薄暗く、温かく湿度の高い所を好む 人は刺さない | 人のフケ、垢、髪の毛などを餌とする 温かく湿度の高い所を好む 人は刺さない | チリダニ・チャタテムシ等を餌とする 稀に人を刺す |
チャタテムシはダニに間違えられることが多いですが、家の中に繁殖する「ヤケヒョウヒダニ」「コナヒョウヒダニ」などのチリダニと呼ばれるダニであっても体長約0.2~0.4mm程度です。また、これらのチリダニを餌とし、人を刺すツメダニも体長0.3~1㎜のため、ほとんど肉眼では見えません。
一方、チャタテムシはダニよりも大きく、成虫で体長1㎜程度となるため、比較的見つけやすいと言えます。
日本では「ヒラタチャタテ」「カツブシチャタテ」「ソウメンチャタテ」「ヒメチャタテ」などが良く見られます。
ダニは小さいから普通は見えないヨ!
チャタテムシはダニと似た湿度の高いジメジメした環境が大好き
チャタテムシはどんな時に増えるの?
チャタテムシはカビやチリダニと同じ環境で増えるんダ!チャタテムシが増えると人を刺すツメダニも増えるから注意が必要ダネ!
チャタテムシはダニと同じ、蒸し暑く湿度の高い環境を好むため、夏~初秋によく発生します。特に雨の多い梅雨時期はチャタテムシの絶好の季節となるため、室内でも目にすることが多々あります。
室内では薄暗い環境を好み、湿度のとどまりやすい、畳や障子、壁、ふすま、押し入れや本棚に生息します。また、冬は結露でカビの発生しやすい窓ガラス付近などにも発生します。
チャタテムシは人を刺して痒くしたり、吸血して感染症をもたらすなどの、直接的な被害はありません。
しかし、増殖すると人を刺して痒くするツメダニの発生の原因となったり、チャタテムシの死骸がアレルゲンとなって、アレルギーの原因となるなど、二次被害につながる可能性があります。
ツメダニは稀に誤って人を刺すと肌がかゆくなったり、皮膚炎を起こすダニ刺されの原因となるダニです。
ツメダニは「コナヒョウヒダニ」や「ヤケヒョウヒダニ」などのチリダニやチャタテムシを捕食するため、これらの虫が増えると、ツメダニが多くなり、ダニ刺され被害が増加してしまいます。
なので、チャタテムシ、チリダニの発生を防ぐために日ごろからの予防や環境づくりが大切になります。
本に棲みつくその他の虫「紙魚(シミ)」「死番虫(シバンムシ)」
こんな虫がでたら泣いちゃうっ!!
本に棲みつく虫はチャタテムシだけではありません。他にも「紙魚(シミ)」「死番虫(シバンムシ)」といった虫である可能性もあります。
引用:東京都福祉保健局
本の表面をなめるようにかじられていたらシミの仕業と考えられます。シミは「魚」のような銀色・黒などのうろこ状の皮膚と、体をくねらせて動く様子。そして、昔から本に生息し、本の装丁に使われる糊を好んで食べることから「紙」の字があてられ、「シミ」と呼ばれています。体長8~10mm程度で見た目は気持ち悪いものの、人を刺すことはありません。畳が大好きで、クローゼット、壁の隙間や割れ目、水道管のそばなどにも生息し、夜行性で暗い場所を好みます。寿命も7~8年と長いため完全駆除は難しいです。
引用:農研機構
本にトンネルを掘ったような食い後があったら、シバンムシの仕業と考えられます。人を刺したり、血を吸ったり直接的な害はありませんが、雑食で小麦粉などの食品や建材を餌に大量発生することで知られています。書籍害虫としては、「フルホンシバンムシ」「ザウテルシバンムシ」種が本を食べ、ぼろぼろにしてしまいます。糊の多い和紙で作られた古書が好物です。温かく湿気のある場所を好みます。
本に虫が湧いてしまった時の駆除方法
1. 虫を発見したら潰して駆除する
チャタテムシはガムテープやコロコロでくっつけて駆除すると確実に退治することができます。掃除機で吸い込んで放置してしまうと、掃除機がチャタテムシの温床となってしまう可能性もあるので、捕ったらすぐにゴミ箱に捨てるようにします。
シミやシバンムシは見つけ次第、雑誌やティッシュなどで潰して駆除しましょう。基本的に直接的な害のないシミやシバンムシですが、食品を食べてしまったり、畳やござを害したりと、間接的な被害をもたらします。
逃がした虫を元に、もしかしたら増殖してしまう可能性もあります。被害が大きくならないうちに今のうちに手を打ちましょう。
2. 殺虫効果のある薬剤を使って駆除する
直接手を下すのが苦手な場合は、市販の殺虫スプレーや燻煙剤を使って駆除するのも一つの方法です。
ただし、殺虫スプレーや燻煙剤は本の中の虫を直接退治することはできないため、見つけたら一度本以外の場所に虫を移動させる必要があります。
また、燻煙剤も本の中にいる虫にまでは効果が届きにくいので、燻煙剤がうまく回った場所にいる虫にのみ有効でしょう。
3.ビニールで覆い衣類用の防虫剤で密閉して駆除する
剥製などの古い装飾品や古本にチャタテムシなどの虫がついていた時は、丸ごとビニール袋で覆い、衣類用の防虫剤を入れ数カ月放置します。
ピレスロイド系の薬剤は、殺虫効果があるだけでなく、虫を寄せ付けない防虫効果もあります。
何度も同じ虫を見かけるときは?
何度も同じ虫を見かけるときは、どこかの寝床を中心に大量発生している可能性があります。発生源となりそうな以下の場所
- 薄暗い場所
- 湿度の高い場所
- 風通しの悪い場所
を中心に、原因となる対象物を突き止め、早めに処分しましょう。
大事な本を虫から守るための予防と対策
大事な本が食べられちゃったら困っちゃうものね!
1.適度に掃除をし、ホコリをため込まない
部屋の中の掃除機掛けをしたり、本の上、本棚、棚の裏側や棚の上をハタキで叩いたりして、虫の好むチリ・ホコリを定期的に除去しましょう。ホコリのたまりそうな部屋の隅や目の届かない位置のホコリは意識して掃除しておきましょう。
2.段ボールや紙類、古本などを放置しない
放置した段ボールや紙類、古本は、湿気を含み温かくなるため、チャタテムシやシミにとって格好の住処になります。
また、ゴキブリやダニの温床にもなってしまうため、まとめた段ボールや紙類、古本はできるだけ置きっぱなしにせず、清掃業者に引き取ってもらうか、乾燥し、風通しの良い部屋に置くようにしましょう。
3.換気で除湿・カビ対策をする
チャタテムシは湿度の高い場所を好み、カビを食べます。換気をこまめに行い、カビの発生となる湿度を除去しましょう。
また、基本的に昆虫は温かく、湿度のある場所を好み、例えば、シミの幼虫に寄生するアリガタバチに刺されるなど3次被害にもつながることがあるので注意しましょう。
4.本を虫干しをする
虫干しとは、日本で古くからおこなわれていた行事で、衣類や本を日光に当て、風を通すことで湿り気やカビを追い出し、ダニ・チャタテムシなどの虫の害を防ぎます。
梅雨明けの6~7月と11~2月の2回、乾燥した晴れた日に行うのが良いとされていますが、1回だけでも効果があります。湿度は55%以下、午前10時~午後3時頃までに行うのがよいです。
直接日光に当てるのではなく、乾燥した風通しの良い場所で1ページずつめくって行います。本によっては、棚から取り出し、バラバラと振るだけでも効果がありそうです。
5.薬剤を使用し、ガラスや戸の付いた棚に保管する
ガラスや戸の付いた棚の中に保管するすることで、ホコリの侵入を防ぎ、チャタテムシの餌となるホコリの侵入を防ぐことができます。
また、市販の防虫シートを敷き、その上に本を保管したり、棚の中に防虫剤を置くことで、薬剤が棚の中に充満し、大切な本を虫から守ることができます。
ただし、使用する薬剤によっては臭いのしみ込んでしまうタイプのものもあるので注意が必要です。
「かゆい!」を感じたときは。アレルギーかも?
本に触れたあとに万が一「かゆい!」と感じたときはアレルギーかもしれません。
チャタテムシは普通に家屋に存在しており、中でもヒラタチャタテの割合は多く、チャタテムシの死骸が粉砕されると、それらはハウスダスト中のアレルゲンとなります。
アレルギー性気管支喘息の約20%はヒラタチャタテに対してアレルギー反応があることが分かっており、アレルギー反応として「かゆみ」がでる可能性も考えられます。
アレルギー性気管支喘息患者の約5人に1人は、この昆虫に対して得意的IgE抗体を有することが証明され、我々日本人にとって、ヒラタチャタテが最も重要な昆虫アレルゲンのうちの一つであることを明らかにしてきた。
引用:室内塵中に最も普遍的に存在する微小昆虫・ヒラタチャタテに対する吸入性アレルギー
症状や症状の出た状況をよくみて、場合によっては医療機関を受診・相談してみる必要があるかもしれません。
アレルギーの原因はダニ?家の中の環境が引き起こすアレルギー性疾患
まとめ
実は本に棲みつくダニは、ダニではなくチャタテムシでした。しかし、カビやダニ、チャタテムシやシミ、シバンムシといった害虫は、似たような環境で発生・繁殖することが多いです。
カビやダニが発生してから対策をするのは、手間も時間もかかり、場合によってはお金が掛かることもあります。
余計な負担がかからないように、日ごろの「こまめな掃除」と「換気」でカビや害虫の棲みにくい環境を作り、快適で気持ちよい空間づくりが大切です。
ダニやチャタテムシなどを繁殖させてしまっていないか、気になる人は、
で、自分の状況をチェックしてみることをおすすめします。
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