ペットとして室内で一緒に暮らす猫達、沢山の病気がありますが油断しがちなダニの寄生。そして感染症..。中には飼い主さんにも感染するものもあります。家の中で飼っているからといって安心してはいけません。一緒に飼っている犬などのペットにより持ち込まれたり、体調不良などが原因で悪さをするダニもいます。
また、外部寄生虫であるダニは暖かくなると多くなるため、特に春から夏にかけては注意が必要です。猫に寄生するダニの種類、症状を知り、適切な対策をすれば、大切な愛猫を未然に守ってあげられるかもしれません。
今回は猫に寄生するダニとダニの種類ごとに、特徴と治療、予防法などについてご紹介していきます。
目次
猫に寄生するダニの種類
猫にマダニが付くこともあるの!?
マダニ以外にも、ヒゼンダニや耳ヒゼンダニ、ツメダニなどいろんな虫が付くこともあるんだよ!家の中と外を行き来する猫は注意が必要ダヨ!
猫に寄生するダニの種類は主に以下の種類がいます。
屋外で感染するダニ、屋内で感染するダニは感染経路が違うので注意が必要です。猫に寄生するダニは、猫への直接被害だけでなく、人間への二次被害へとつながります。また、ダニから感染症を引き起こす場合もあるので、しっかりと治療と予防をしてあげたいところです。
- マダニ(屋外)
- ヒゼンダニ(屋外)
- ミミヒゼンダニ(屋外)
- ツメダニ(屋内)
- ニキビダニ(屋内)
- 屋外寄生の場合
家の中で一緒に暮らしている猫には外からダニを持ち込むことはありませんが、犬や人によって持ち込まれることで寄生することがあります。
人によって持ち込まれる場合は、職場や公共施設などに生息するダニなどもあります。
家の中での寄生の場合
部屋の中には無数のダニが生息します。湿度が60%以上で、温度が20℃~30℃で6月~9月の高温多湿の時期が発生のピークになります。ダニの餌になるカビやフケ、食べかすやダニの死骸などがあればどこでも繁殖可能です。
マダニの症状と対策
ノミ以外にもダニも気をつけないといけないのね!
マダニは世界中で800種以上の種類がおり、日本では47種類が生息していると言われています。家の中で暮らす猫には寄生することはほとんどありませんが、同居している犬がいる場合、飼い主との散歩などで外から持ち込まれ寄生することがあります。
成虫は3㎜~8㎜で、肉眼で見ることができます。マダニの口器は皮膚の中まで差し込まれ接着物質のようなものを分泌し、その後麻酔のような物質の含まれた唾液を分泌し吸血します。吸血したマダニは10㎜~20㎜の大きさにまでなります。
マダニにかまれたら、無理に取り除こうとするとマダニの頭だけが猫の皮膚に残ってしまいます。動物病院で処置をしてもらいましょう。
【吸血前と後のマダニ】
引用:東京福祉保健局
猫ヘモプラズマ感染症(猫伝染性貧血)
マダニによる感染症として、猫猫ヘモプラズマ感染症(猫伝染性貧血)があります。感染経路は、ダニ・ノミによる吸血や猫同士の喧嘩による咬傷などです。猫白血病ウイルスや猫免疫不全ウイルスに感染している猫では発生率が高く、より重い症状が出ることがあります。
●症状
発熱・元気消失・食欲不振・黄疸・脱水・脾臓肥大(腹部が大きくなったように感じる。)・貧血などが見られます。
●治療
治療としては、抗生物質の投与、輸液・輸血などがあります。
●感染症
感染症を確実に防止する予防薬やワクチンはまだ開発されておりません。
●予防
予防としては、犬のお散歩から帰ったら家に入る前に犬のブラッシングをするとよいでしょう。猫同士の喧嘩を避けるためにも完全室内飼いがよいでしょう。
マダニから人間に感染する感染症が超怖い!
マダニが原因で死んだ人がいるってニュースで見たことがあるわ!怖いなぁ。。。
マダニが媒介するSFTSという感染症が最近問題になっていたネ!他にもウィルスを媒介するから、刺されないことが一番の対策!
マダニが媒介するウイルス感染症として、「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」「ライム病」「日本紅斑熱」「ダニ媒介性脳炎」があります。猫に寄生したマダニが人間を刺すことにより感染することがあります。必ずしも感染症になるわけではありませんが、感染すると重症化したり、後遺症が残るなどし、最悪死に至ることもある怖い病気です。マダニを見かけたら要注意です。
●重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の症状としては、発熱・消化器症状(食欲低下・嘔吐・腹痛・下痢)などがあり、重症になると死に至ることもあります。
2017年、野良猫に噛みつかれた女性がこの感染症で死亡するという事件が起きました。
●ライム病
「ライム病」はボレリアという細菌の一種により引き起される感染症です。症状としては、筋肉痛や関節痛・頭痛・初熱・悪寒、病原体が広がると皮膚症状や神経症状・心疾患・関節炎・筋肉炎・眼症状などが起こります。初対面の猫などには安易に触れず、気を付けるようにしましょう。
●日本紅斑熱
「日本紅斑熱」は、細菌の一種であるリケッチアにより引き起こされる感染症です。人から人へ感染することはありません。症状としては、高熱、頭痛・全身倦怠感などがあり、紅色の発疹が手足首に現れ、体に向かって広がる特徴があります。治療が遅れると重症化することがあります。
●ダニ媒介性脳炎
「ダニ媒介性脳炎」の症状は2種類あります。「中央ヨーロッパ型」は、インフルエンザの様な発熱、筋肉痛などの症状の後、けいれん、めまいなどの症状が出ることがあります。死に至ることも稀にあり、頭痛や無気力などの後遺症が残ることもあります。
もう一つの「ロシア春夏脳炎型」では、突然の高熱、悪心、異常なまぶしさを感じることがあり、回復することもありますが、髄膜脳炎になり、けいれんや麻痺などになることもあります。致死率は20%にも上り、30~40%の人は神経学的後遺症になります。
参考:厚生労働省
ヒゼンダニの症状と対策
人間も「疥癬(かいせん)」は聞くけど、本当にかゆそう!
ヒゼンダニは、吸血はしませんが、「皮膚疥癬症」という皮膚病をおこします。
ヒゼンダニが寄生することによっておきますが、ヒゼンダニの大きさは0.4㎜程度で、非常に小さくほとんど肉眼では見えません。猫の皮膚にトンネルを作り皮膚の角質層を食べ、産卵を繰り返すことで炎症が起きます。
●症状
症状としては、皮膚がかぶれて硬くなり強いかゆみを起こします。爪で患部をかきむしるので、出血したり化膿したりすることもあります。
多頭飼育の場合は、特に気を付けましょう。同じブラシやタオルを使用することによって感染します。
●治療
治療としては、ヒゼンダニには、有効なお薬がありますので発症したらすぐに動物病院に連れて行きましょう。
●予防
予防としては、ヒゼンダニに感染している動物、感染している野良猫などには絶対に近づけないで下さい。室内飼いを徹底し、網戸越しでも近づけないようにしましょう。
ヒゼンダニは人間にも感染し、疥癬になることも!
ヒゼンダニは人間にもうつる病気だから気をつけようね!
ヒゼンダニは、猫だけでなく、動物や人間にも寄生するダニです。そのため、猫同士の接触だけでなく、人や他の動物との接触でも感染してしまいます。命に関わる病気ではありませんが、人間も「疥癬」の症状は同じく、皮膚の炎症と共にかゆみを伴います。飲み薬や塗り薬などで完治するので、皮膚科を受診するようにしましょう。
疥癬の症状等については別記事その子供のダニ刺され!実は勘違いかも?ダニ刺されと間違いやすい子供の病気 も参考にしてください。
ミミヒゼンダニ(耳疥癬)ミミヒゼンダニ(耳疥癬) の症状と対策
ミミヒゼンダニは0.3㎜~0.4㎜と非常に小さく肉眼では見えません。耳の中の(外耳道)の表面に寄生する繫殖力の強いダニです。
●症状
症状としては、激しい痒みに襲われ、激しく頭を振ったり、後ろ足でかいたり、壁や床に耳をこすりつけたりします。
●治療
治療としては、上記の症状が見られたらミミヒゼンダニを疑って早急に動物病院へ連れていき、駆除してもらいましょう。
ミミヒゼンダニは感染力が強いので多頭飼育の場合や、子猫には特に気を付けましょう。
●予防
予防としては、布団や毛布・絨毯・猫のベッドなどの念入りな掃除、そして猫のブラッシングや耳掃除なども怠らずに行いましょう。
ツメダニの症状と対策
ツメダニって人間だけじゃなくて、ネコも刺すのね!?
ツメダニの大きさは0.3㎜~0.5㎜と非常に小さく、頭に巨大な鉤爪を持っています。寄生した皮膚に卵を産みつけ増えていきます。大型の虫を介して寄生することもあります。
●症状
症状としては、主に頭部や背中まれにしっぽの付け根やおなかにも大量のフケやかさぶた・湿疹そして脱毛などが見られます。強い痒みはありません。
ツメダニ症は人獣共通感染症(ズーノーシス)なので飼い猫から人に寄生する可能性があります。症状は発疹や強い痒みや痛みが出ますが、人の皮膚では繁殖できないため、すぐに症状は治まります。
●治療
治療としては、ダニ駆除剤の投与ですが、必ず動物病院で行いましょう。
●予防
予防としては、猫の皮膚の状態を常にチェックして、早期発見につなげましょう。
ツメダニが人間を刺すと超かゆい!
ツメダニは家の中のダニで、主に人間の食べかすやフケ、アカを餌とするチリダニの増殖に伴い、増殖します。
普通は積極的に人間を刺すことはありませんが、間違って刺してしまうと腫れ・赤みと共に猛烈なかゆさがでます。一週間ほど続き、2か所以上刺すことがあります。
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ニキビダニの症状と対策
ニキビダニは正式名をデモデックス(毛包虫)といい、大きさは0.2㎜と非常に小さく、猫の皮膚の皮脂腺に寄生し皮脂を餌にしています。常に犬や猫の皮膚に住んでいる常在種です。生存力は強くなく、数週間で死んでしまうようです。免疫力が通常であれば発症しないこともあるようです。
罹りやすいのは免疫力のひくい子猫、または、猫免疫不全・ウイルス感染症・猫白血病ウイルス感染症・糖尿病になっている成猫です。
●症状
症状としては、頭や顔の周囲や首の部分で皮膚炎が見られ、赤くただれたり、脱毛、フケ、かさぶたが出来たりします。痒みの程度は様々です。まれに背中や腹部・足などにも症状が出ることがあります。
●治療
治療としては、薬浴かダニ駆除薬の投与ですが、こちらも動物病院に連れて行きましょう。
●予防
予防としては、基礎疾患にかからないために健康状態をチェックし、なるべくストレスをかけないよう清潔な環境に保つことを心がけましょう。また栄養バランスのとれた食事を与えるようにしましょう。
まとめ
ダニは一度駆除しただけでは完全に撲滅しきれません。
家に猫を迎えいれるには、しっかりとしたダニ対策とこまめに掃除をすること、そして湿度のコントロールをしておくことが大切です。
常に猫達の健康状態に気をくばり、できればしっかりと室内で生活させることをお勧めします。
特に多頭飼育の場合は一匹にダニが寄生してしまうと、あっという間に広がります。そんなことのないように清潔な環境作りを心がけましょう。
どんな動物たちも生きることに一生懸命です。どうぞ、猫ちゃん達が生涯幸せでいられますよう責任をもって、愛情込めて一緒に暮らしてください。